2012年12月4日火曜日

乱気流を裂く男

by よしだ

市場さんとの出会いの話はともかくとして、忙しい市場さんがこうして僕といろいろと遊んでくれたり連絡をくれたりするのは、お互いの共通項が高円寺であったのがやはり一番大きいのかもしれない。もちろん話をしてみて僕と共通の音楽仲間がいたり、プライドやK1等の格闘技が好きであるというのも大きいのだが、何よりも気軽に呼び出せる距離感と、余計な説明もなく「あそこでさ、あのあたりでね」と曖昧な意思表示で説明出来る利便性もあったのであろう。
いつものように「じゃあ、あそこで9時」と無駄のない伝言で呼び出された僕は、いつものように酔いの回ってきた市場さんと創作論についての終わりのない議論を始める。僕のような青二才の戯言を市場さんは黙って聞き届け、同調出来る部分は同調するが、納得出来ない理論やこちらの意図がよく理解出来ない時は徹底してその具体的な説明を求めてきたりする。特に「魂」という言葉に対しては敏感で、僕が「市場さんの絵には魂が籠ってますよね」というと「どこがだよ。本当にそう思ってんの?おい」とビールの入ったグラスを口に運ぶのを止め、僕の顔を凝視してくる。「思ってますよ。線一本一本から魂を感じますよ」と僕もコップをテーブルに置き、さも自信に溢れてるかのように示すべく市場さんと目を合わせる。「何言ってるんだよ、ただ書いてるだけだよ。ただ単に書いてるだけなんだよ!」と言うと市場さんはすかさず僕にラリアットを食らわせる。その衝動で椅子から吹っ飛び真横に積み上げてあったビールケースをなぎ倒しながら僕は油の滲み込んだ床を勢いよく転がって行く。即座に起き上がった僕は市場さんの膝へと低空ドロップキック。その場へ前のめりに転がった市場さんの上へその場飛びムーンサルトプレス。そしてフォール!カウント2で返す市場。起き上がり様、左ハイキックを吉田に叩き込み超高速ジャーマンスープレックスを決める市場。吉田返す。市場、吉田を肩に担ぐとそのままカナディアンバックブリーカーを極めながそのまま店外へと投げ飛ばす。窓ガラスを突き破り路上を派手に転がって行く吉田めがけ、市場は割れた窓ガラスを超えてトペスイシーダ!しかし吉田は膝で剣山ブロック! 苦痛で顔を歪める市場を横目に、吉田は鋭いバスソーキックを市場の左側頭部に叩き込むと路駐してあったワゴン車の上によじ登る。しかし市場は復活!そのまま車の上に立つ吉田まで駆け上り、吉田の肩を掴むとなんと雪崩式フランケンシュタイナー! 吉田首から真っ逆さまに落ちる。市場そのまま逆エビ固めで吉田をフォール。カウント3!決まった!

○市場大介 (3分45秒 車上からの雪崩式フランケンシュタイナー→逆エビ固め)●吉田恭淑